Covid-19の日々進む変異について考察

写真1を参照しよう。元WHO香港研究員のDr.Yanの論文から1248のアミノ酸からなる新型コロナウィルスの構造です。オレンジの線の部位がヒトACE2受容体に特異的に接着する部位RBD(Receptor Binding Domein)です。アミノ酸部位440ー512辺りがこれに相応します。

例えばイギリス株はN501Yつまり501番目のアミノ酸が変異していますからRBDの変異があったことになりヒト受容体に対する親和性に何らかの変化が起きる事が理解できます。

次に写真2(国立感染研究所報告)参照し最近の変異ウィルスは680番台が目立つようになってきている。

これを写真1のアミノ酸配列と比すると直後の緑線(FCS部位)があるのがお分かりいただけるだろう。こちらは写真3 DrYanの報告論文からウィルスの感染性を高め、極性を促進し、かつ

SarsやMers、既存のコウモリコロナに存在しない部位とあります。本来新型コロナやSarsウィルスの細胞性免疫を下げる(Downreguration)する遺伝子領域はスパイク部位より上流のORF1領域に存在しますが、このFCS領域はそのORF1の活性を促進するとも考えられ変異を通じてウィルスは確実に弱毒化すると考えられる場所です。つまりインド株やデルタ株と言われる変異種は、

極めてヒトへの感染親和性を計画的に高めたとしか考えられないCovid-19(武漢型新型コロナウィルス)の極めて特徴的な3次元構造(3Dstructure)の消失が近いことを示唆しており、分子生物学的にはようやく長いトンネルの向こうの明かりが見えてきた事を意味する。

文責 藤田 裕(歯学博士、口腔外科学専攻 専門:分子生物学)