ウイルスに対する防御とワクチンの有効性、どうやってかかりにくい身体を形成するか?

新型ウイルスの世界的蔓延からも、問題解決に時間がかかり、目立った大きな解決法も示されないまま、すでに長い時間が経っております。

その中で、報道では、耳にすることが多くなってきたPCRやワクチン療法ですが、全て物事には陰と陽が存在します。小生、かつて大学院研究時代、DNAの組み替え技術を用いたIgAの分析に

没頭しておりました。そのわずかな知見ですが、そこから読み取れる我々が、考えるべき事について、お話ししたいと思います。まずワクチン開発の現状ですが、世界各国特に英国、アメリカ、中国、ロシアのワクチンは、ベクターウィルスDNA遺伝子やプラスミドDNA遺伝子などを媒体とした(DNAベクター)遺伝子組み替え手法を用いた点で開発手法が類似しており、すでにいくつかのワクチンは商用化に向け最終段階(治験段階)であります。日本でも数社の薬品メーカーがワクチン開発に乗り出し、例えばタカラバイオ(宝酒造子会社)など、ウイルス不活性化ワクチンを開発中です。

それぞれターゲットにしているウィルスの遺伝子の部位が異なり、それぞれ抗体形成の確立や、比較的多いとされる副作用の強さや種類について、大きな相違があります。

論文の報告を見ると、発熱、吐き気、食欲不振、倦怠感、悪寒、咳などいずれ一つ以上が8割の治験患者に現れているワクチンもあり、抗体形成が見込まれる分、副作用も強い印象があります。

また、抗体形成は、人体中で比較的絶対量が少ないIgM抗体がワクチン摂取後1-2週で出現し、

その後1-2週遅れて人体中で量が多いIgG遺伝子が出現します。おそらくウイルスに対する不活性化は、このIgGが担うと考えられます。

ところが、我々の口腔や消化器、呼吸器粘膜には、残念ながら双方の抗体ともほとんど存在しておらず(歯肉の溝から僅かに分泌されるが)主に存在しているIgAに抗体免疫は依存しております。

ワクチンで抗体形成が叶っても、最初にウイルスが侵入するであろう口腔や鼻腔、気道

に存在して機能している抗体は、体外でかつ血液以外の唾液や粘液に分泌されているもの

で、かつIgMやIgGではなくIgAであって、かつワクチンでは、ウイルスを認識するIgA抗体は、形成が不可能であるという事を、認識する必要があります。

また、ウイルスが選択的に付着するとされるACE2レセプターと呼ばれる受容体は、口腔では舌粘膜、また気道や肺などの呼吸器に多く存在し、おそらく初期の感染防御という点において、ワクチンの効用は限定的になるという事は、指摘せざるを得ません。

英国医学雑誌LANCETの記事では、現に、コロナウイルスによる重度肺炎で死亡した患者が、

ウィルスIgG抗体陽性だったという報告もあり、抗体ができても病状が進行する可能性に、

触れています。果たして本当に抗体形成が必要なのでしょうか?

またPCR検査は、3万程の塩基対から成るウイルスのうち、僅か20対の遺伝子を2つだけで、

ターゲットの遺伝子の増幅をして増幅ができなければ陰性診断されるものですが、その検査の構造上、精度の高い検査手法と言い難く、核酸増幅法などより正確な抗原検査にとって代わる必要があります。またその検査用の計40対の塩基は武漢型の遺伝子を元に作成され、時間と共に、

変異していくウイルスの検査として、時間の流れと共に、疑陽性や偽陰性の増加など正確性の欠如の確率が大きくなります。

では、一体どうすれば効果的にウイルスに対して我々の免疫力を上げて対峙ができるのでしょうか?

そもそも我々の免疫システムは、2つのシステムがあります。1つは細胞性免疫そしてもう一つは、体液性免疫(所謂、抗体免疫)です。病原体(抗原)が侵入するとT型リンパ球が、それを直接攻撃したり、化学因子で抗原情報を提示伝達したりします。簡単に言えばT型リンパが直接攻撃するのが、細胞性免疫、T型リンパから抗原提示を受けB型リンパが抗体産生して抗原と戦うのが、体液性免疫です。ワクチンによる体液性免疫の効果が限定的なら、細胞性免疫の活性をあげれば良いということになります。T型リンパは胸腺で作られますが、胸腺は、13歳前後までに機能を終えそれまで作られたものを一生使うこととなります。ただ稀に20歳くらいまで胸腺の機能が衰えず分泌し続ける個体もあります。そのような方は比較的細胞性免疫能が高いということになるわけです。身体中でT型リンパは、抗原の多い器官に局在するわけなので、細菌が多い口腔や消化器ですと大腸に多く存在します。無論、口腔内の細菌が減少したり、食事の改善や歩行などの運動で大腸の菌そうに変化があれば、用が少なくなったリンパ球は体内に戻り、相対的に免疫能は上がります。(元国立感染研究所花田博士報告、現鶴見大学教授)

口腔ケアや、歯科衛生士や歯科医のプロフェッショナルクリーニングは、何よりまして大事と言えます。また歯ブラシだけでは除去できないバイオフィルム(所謂、細菌性のバリアで歯にしつこく付着するもの)は、先に説明させていただいたACEレセプターを保護する唾液由来の糖タンパクのバリアを分解してしまい易感染性を形成してしまいます。定期的な歯と口のプロケアで、守るという事がとても大事です。

また腸間免疫は、悪玉菌の増加を抑えるため、発酵食品の摂取(納豆やキムチ、ヨーグルト)、

腸間ぜん動運動の促進のための適度の運動(歩行など)を組みあせて、さらに免疫能を上げることが期待できます。

細胞性免疫こそ、免疫能を上げて、抗体に頼らなくても感染しにくい身体作りに励むことが、必要なのです。

藤田 裕 歯学博士(口腔外科学)、日本大学兼任講師(病理学)